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ラブドールを写真に撮る意義

こんにちは。今回は独り言に近いです。
正しいかどうかよりも、一種の思考実験としてお楽しみ頂ければと思います。


Anna様をお迎えしたとき、最初の役目はぶっちゃけ「フォトモデル」と「デリヘル」、
つまり生身の人間の代替品としての役目を期待していたわけです。
一緒に暮らすようになってその認識はだいぶ変わりましたが、当初の予定では、
こと写真撮影に関しては「ドールで慣れたら人間にステップアップ」というつもりでいました。
人間のポートレートを撮影するための練習台という認識だったわけです。

Anna-193.jpg


ところが、ウイッグの違いでキャラクターがガラッと変わることを知り、
顔の角度で表情まで変わることに驚き、
名前に「様」までつけて呼ぶようになった今、
「人間の替わり」ではない可能性をひしひしと感じています。
人間のポートレートのための練習台ではなく、積極的にドールを撮影し、
芸術表現していく意義というのがあるのではと思うようになったのです。

Anna-197.jpg


そもそもドールは、人形=人間の似姿です。
どちらが先にあったかといえば間違いなく人間の方です。
その意味では人間がで人形がの関係でした。
埴輪だって生け贄の替わりですもんね。
ただ(私は歴史にも美術史にも詳しくありませんが)、なんとなく
「人形は人間に似せるもの」って方向性はダヴィンチやミケランジェロ等の彫刻で
ある程度完成されたのではないかと思うのです。
それから、人形には人形独自の存在意義が出来てそれを表現する方向に変わったのではないでしょうか。

ダビデ像

押井守監督の『イノセンス』でも語られてましたが、人形やロボットを作るという行為は、
人間の構造を機械に置き換える分析行為だといえます。
これは一見「人間に似せる」行為の延長に見えますが、実は全然別のことだと思います
(人間に似せて作るなら骨格標本を人工筋肉で覆う作りになるはずです)。
シリコンドールが万歳もできないことや、
球体関節と外骨格という人体と真逆な構造の人形が存在することがその証左です。
おそらく人体をデフォルメ、あるいは特定の機能や特徴だけを抽出して形にしたのが今の人形なのだと思います。
その結果、人形は人間には無い美しさを持つに至りました。

ベルメール

近頃は人間の方が人形を模倣し、人形に近づきたいという願望まで生まれるようになりました。
バービー人形を目指して過度な整形を繰り返す人、
球体関節を持っているかのようなボディペイントやストッキングを纏い人形になりきる人、
虚ろな目と無機質なメイクでリアルラブドールになりきった写真を撮ってくれるサービス。
ここまでくるとどちらが主従か分からなくなってきます。

ではリアルラブドールを写真に撮るという行為は何を目指せば良いのでしょうか。

元々フォトモデルの替わりを期待してお迎えしたラブドールですが、
「(ほぼ)自立しない」「表情が変わらない」「ポーズに制限がある」など、
フォトモデルとしては結構重大な欠陥も持っています。
もちろん、Anna様並のルックスとスタイルを兼ね備えたモデルともなればレアな存在ですが、
それでも人間の代替品として撮影していてはいつまで経っても人間のポートレートを超えられません。
人間とは違った魅力と美しさを持つに至ったラブドールを撮影するならば、
人間を撮影する手法とは別の、「人形を撮影する流儀」が必要になるのではないかと思うのです。

Anna-195.jpg


例えるなら
「国宝の観音菩薩を撮影しろと言われて、あなたがカメラマンならどう撮るか?」
みたいな問いに近い気がします。

と同時に、そこまで堅く考える必要もないのかな?とも思います。
というのも、人間のモデルを撮影する写真表現だけ見ても、
グラビア、ストリートスナップ、スタジオ撮影と、様々な方法があります。
先に述べたように、人間が人形になりきって写真に写るというアプローチもあることですし、
人間を撮るポートレート自体にも確たる流儀があるとは思えません。
人形が「人形として写る」ことも「人間として写る」ことも自由だと言うことだって出来るわけです。

最近スタジオでいろんな撮影手法を勉強したり試したりしていますが、
未だに最初に撮影したコレを超えられていないように思うのです。
Anna-1.jpg

この写真は言わば一目惚れの写真です。
撮影技術的には未熟な部分やこうしておけばよかったという部分もありますが、
アルテトキオ145「Anna」という存在の美しさを表現する上で、コレに勝る写真をまだ撮れていない気がするのです。

もう一度初心に返りたいなぁ、と思ってます(^^)

コメント

人型ですが

こんばんは。
大変興味深く拝読いたしました。
自分もモデル用途を主眼に購入したので、スタンスは似ていると思います。

極論すると人型ですが人ではありません。
感情はありませんので、有る風に撮らないとリアリティは出ませんって所かと。


撮り始めて自分なりに理解したのは、データの収集にはとても便利ですが、こと「人を撮る」のとは根本から異なりました。
人の形をしているので勘違いしましたが、「静物撮り」なんですよね。

人は感情の生き物で、目線や口角、目尻や瞼がコンマ数ミリでも動けば、もう違う表情です。
名を成したカメラマンの多くは「被写体の心象コントロール」に長けていらっしゃって、切り撮った瞬間に感情や想いまでを写し込みます。

対してドールでは、自分で感情や想いをイメージした上で作り込まないと商品カタログにすら負けますので、
シチュエーションをどこまで表現してあげれられるかが完成度に直結すると思っています。

長々書き連ねてしまい申し訳ありません。

こんばんは

すごく突き詰めて、深く考えていらっしゃいのでね。自分なんか、可愛く(もしくはエロく)取れればいいか、みたいに適当(^-^;なので、その姿勢はすごいなと感服します。

感情のない無機物を、感情のある人間かのように撮影するのもラブドール写真の大きな魅力だと思います!

まあでもやっぱり、本来のラブドールの存在意義も尊重したいな、とは思います。

誤字が…

すみません、さっきのコメント誤字ヒドイので訂正です(^-^;

最初のところ、”すごく突き詰めて、深く考えていらっしゃいのでね。”

→”すごく突き詰めて、深く考えていらっしゃるのですね。”

でした。申し訳ありません。

maruさん

私は以前お金を頂いて人を撮る仕事もしていましたが、イベントスナップが多く、スタジオ撮影や結婚式前撮りのように「作り込む写真」の経験がありませんでした。
その手際の悪さに自覚はあり、ライティングを「あーでもない」と弄っている間モデルさんを待たせるのが申し訳なく、完成とはほど遠い状態で「OKです」と言ってしまいそうなので、その分野の仕事は受けてきませんでした。
ですがAnna様の撮影を通してライティングの基本やスタジオ撮影の雰囲気もつかめてきたので、もう少ししたら「作り込む」ポートレートにも向き合えそうな気がします。
maruさんの仰る「被写体の心象コントロール」に集中するには「それ以外」が出来ていることが条件なので、Anna様の撮影は「それ以外」を学ぶ良い機会になったなと思っています(^^)

また、表情が変わらないと書きましたが、実は能面のように角度によって表情を変えるので、シチュエーションに合った表情を引き出す面白さは人間撮影にも通じるのでは?なんて思ってます♪

nimlunさん

実は大学の卒論を「Ghost in the shell」「Innocence」の哲学的解釈で乗り切ったことがあり、この手の思考実験は大好物であります(笑)

語弊があるかも知れませんが、過去のラブドールとの付き合い方は「自宅に籠もって密かに愛する」のがスタンダードだったと思います。
それが、「リアル」ラブドールの造形進歩、SAKITANさんというパイオニアの登場、SNSの発達のおかげではじめて「表に出す」ことが可能になりました。
いわば「新しい表現」です。
小型ドールはハッキリとデフォルメされているので分かりやすいですが、等身大は中途半端に似すぎているせいで「人間」として扱うか「人形」として扱うか微妙なラインにいる存在です。
多分どっちとして扱ってもいい代わりに、その理由は明らかにしたいなと思います。

誤解の無いように言いますが、ダッチワイフで芸術表現をしようという方が偏屈なので、nimlunさんは自信を持って(私の分まで)エロい表現を続けていただければと、ズボンにテントを張りながらお祈りする次第でございます(笑)

本文に関係なく申し訳ございません

No title

ドールさんを撮影することについて、これまでの経験からいろいろと考えるということは、とても良いことでしょう。

あくまで、人形としているのか?
人形との生活を撮るのか?
でも変わりますよね。
(後者の場合はポトレとは言いませんが)

ポトレ歴長いですが、ポトレって怖いですよ。
モデルさんの生きてきた道が見えることがありますので。

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